女子アスリートの貧血・鉄分|疲れやすさのサインと食事の考え方

女子アスリートの貧血・鉄分|疲れやすさのサインと食事の考え方 栄養
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「最近、疲れやすそう」「練習がつらいと言うことが増えた」「記録が伸び悩んでいる」――。
成長期の女の子のアスリートに、そんな様子が見られたとき、原因のひとつとして知っておきたいのが鉄不足(鉄欠乏)です。
この記事では、日本スポーツ振興センター(JSC)の「Female Sport ナビ」やスポーツ庁などの資料をもとに、鉄不足のサインと食事の考え方を、保護者向けに整理します。

この記事のポイント

  • 鉄は、酸素を全身に運ぶヘモグロビンをつくる大切な材料。
    不足すると鉄欠乏性貧血になることがあります
  • 月経が始まる時期や、身長が伸びる時期は、鉄欠乏性貧血が起こりやすいとされています
  • サインは「疲れやすい・記録が伸びない・動悸や息切れ」など。
    気になるときは血液検査で確かめることが大切です

そもそも、鉄はなんのために必要?

JSC「Female Sport ナビ」の資料によると、赤血球に含まれるヘモグロビンは酸素と結びついて、酸素を全身に運びます。鉄は、そのヘモグロビンをつくる大切な役割をしています。
鉄が足りなくなるとヘモグロビンが減って、鉄欠乏性貧血になります。

女の子のアスリートで、鉄不足が心配される理由

  • 成長期で、鉄がたくさん必要:思春期は、筋肉や内臓、血液などをつくるために多くの鉄が必要とされています
  • 月経で、鉄が体の外に出る:月経がある人では、一定の量の鉄が体外に出ていくとされています
  • トレーニングで、鉄の消費が多い:鉄は体内で吸収されにくい性質もあり、練習量が多い、または減量が必要なアスリートに多い傾向があるとされています

スポーツ庁の資料でも、特に成長期の競技者は、骨や筋肉の発育・発達のために鉄が使われるので、鉄欠乏の状態になりやすいことに留意が必要とされています。

見分けるヒント:こんなサインはありませんか?

  • 動悸、息切れ、疲労感
  • めまいや頭痛(Female Sport ナビ「気をつけたい栄養素~鉄~」)
  • 記録が伸びなくなった
  • 疲れやすくなった、持久力がなくなった
  • 練習がつらくなった

これらは、鉄欠乏性貧血にあらわれやすいとされるサインですが、ほかの理由でも起こります。
「貧血にちがいない」と決めつけず、あくまで「確かめるきっかけ」として使ってください。
貧血かどうかは、血液検査で調べることができます。

実際、どのくらいの人が鉄不足?
(調査の紹介)

日本スポーツ栄養協会の記事で紹介された、大学の運動部に所属する女子選手71人(平均約20歳)を対象にした調査があります。

  • 正常だった人:21人(29.5%)
  • 貧血にはなっていないが、鉄が不足していた人:42人(59.1%)
  • 鉄欠乏性貧血だった人:7人(9.9%)
  • 「鉄に配慮した食事をしている」と答えた人:16人(22.5%)

調査した人数は限られていて、対象は大学生ですが、貧血になる手前の「鉄不足」の段階の人が多かったこと、そして鉄に配慮した食事をしている人が少なかったことがわかります。
お子さんにそのまま当てはまるわけではありませんが、「貧血と言われていなくても、鉄が足りていない可能性がある」ということを知っておくと、食事を見直すきっかけになります。

家でできること:食事の考え方

Female Sport ナビでは、まずバランスの取れた食事が基本とされています。
そのうえで、次のような点が紹介されています。

  • 鉄を多く含む食品を知る。Female Sport ナビの資料には、次の例が挙げられています
    • 肉類:豚レバー、牛もも肉
    • 魚介類:かつお、まぐろの赤身、あさり水煮缶
    • 大豆製品:納豆、豆腐、厚揚げ、豆乳
    • 野菜類:小松菜、ほうれん草
    • その他:卵
  • ビタミンCといっしょに食べる。鉄の吸収を助けるビタミンCは、根菜類、緑黄色野菜、いも類、かんきつ類、いちごなどに含まれるとされています
  • 植物性の鉄は、たんぱく質も意識する。鉄には、動物性食品に多い「ヘム鉄」と、植物性食品に多い「非ヘム鉄」があります。
    非ヘム鉄は吸収率が低いため、ビタミンCやたんぱく質といっしょにとると効果的とされています
  • 休養と練習量にも目を向ける。スポーツ庁の資料では、貧血は、食事で鉄などの必要な栄養をしっかりとることに加えて、休養やトレーニングの強度・量に配慮することで予防できるとされています

たとえば、「納豆ごはんに小松菜のみそ汁と、みかん」のように、いつもの食事に少し足す形で考えると、続けやすくなります。

サプリメントや鉄剤の注射に、注意してほしいこと

  • Female Sport ナビによると、国際オリンピック委員会は、サプリメントによる鉄の補充を推奨していません。
    サプリメントを使いたいときは、医師や薬剤師に相談してください
  • スポーツ庁の資料では、鉄剤の静脈内注射は、鉄欠乏性貧血が重症で緊急の場合など、飲む鉄剤が難しい・不適当なときに限って使うものとされています。
    不適切に使われると、鉄の過剰摂取につながり、肝臓・心臓などに鉄がたまって機能障害を起こす恐れがあると注意されています
  • そのため、指導者や保護者が、安易に鉄剤の注射を求めるのではなく、医師の診断に従って治療を受けることが大切とされています

病院に行く目安

  • 動悸・息切れ・疲労感、めまいや頭痛などが続くとき
  • 「疲れやすい」「記録が伸びない」「練習がつらい」といった変化が続くとき
  • 月経が始まった、または身長が急に伸びている時期で、上のようなサインが気になるとき

Female Sport ナビでは、気になる症状があれば、早めに血液検査を受けることが大切とされています。
かかりつけ医、小児科、内科、婦人科などで相談できます。
治療や薬については、必ず医師の指示に従ってください。

保護者ができること

  • 体調の変化を、責めずに聞く。「最近しんどい?」と、話しやすい雰囲気をつくりましょう。
    月経のことも、本人が話しやすい形で受けとめてあげてください
  • 食事を、いつもより少しだけ見直す。肉・魚・大豆製品・卵と、野菜や果物をそろえることから始めましょう
  • 「体重を減らす」話の前に、疲れやすさを確認する。資料では、減量が必要なアスリートに鉄欠乏が多い傾向があるとされています
  • 気になったら、自己判断のサプリではなく、まず検査。

よくある質問

Q. 「貧血」と言われたことがないけれど、鉄不足の可能性はありますか?
A. 上で紹介した調査では、貧血にはなっていないが鉄が不足している人が、対象の約6割いました。
気になるサインがあるときは、血液検査で確かめることが大切です。

Q. 鉄分のサプリメントを飲ませてもいいですか?
A. 国際オリンピック委員会は、サプリメントによる鉄の補充を推奨していないとされています。
使う前に、医師や薬剤師に相談してください。

Q. どんな競技で起こりやすいですか?
A. Female Sport ナビでは、陸上の長距離、バレーボール、体操、新体操、レスリング、剣道、空手、フィギュアスケートなどが挙げられています。
ただし、ほかの競技でも起こりうるので、サインがあれば確かめましょう。

まとめ

  • 鉄は、酸素を運ぶヘモグロビンの材料。
    不足すると鉄欠乏性貧血になることがある
  • 成長期・月経・トレーニングが重なる女の子のアスリートは、鉄不足に注意が必要とされている
  • 「疲れやすい・記録が伸びない・動悸や息切れ」が続くときは、血液検査で確かめる
  • 食事は、鉄を含む食品とビタミンC・たんぱく質の組み合わせを。
    サプリや注射の自己判断は避ける

参考資料

この記事は、上記の公的な資料をもとに、保護者の方向けにわかりやすく書き直したものです。
痛みや不安があるときは、医療機関で相談してください。

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