ジュニアアスリートの力を引き出す水分補給の科学

「勝利を掴む一杯」の秘密:ジュニアアスリートの力を引き出す水分補給の科学 その他
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未来のスターを支える親御さんと、志高い若きアスリートたちへ。

「うちの子、練習の後半にバテやすい気がする……」「一生懸命練習しているのに、なかなか結果に結びつかない」そんな悩みを抱えているなら、原因は「水」にあるかもしれません。

私たちの体の約60%〜70%は水分(体液)で構成されており、筋肉を動かし、脳に指令を送り、食べたものをエネルギーに変えるすべての化学反応は、水溶液という「現場」で起きています。

今回は、最新の研究データに基づいた「日本人アスリートのための水分摂取新常識」を、生理学的・化学的根拠とともに解き明かします。

 

1. 黄金の計算式:あなたの「最低ライン」を知る

まず、1日に最低限必要な水分の総量を把握しましょう。基本となる指標は以下の通りです。

基本の目安:体重 ×40〜50ml

体重 1日の水分必要量(目安)
30kg 1.2 〜 1.5L
40kg 1.6 〜 2.0L
50kg 2.0 〜 2.5L
60kg 2.4 〜 3.0L

なぜこれほどの量が必要なのでしょうか。

健康な成人が安静にしていても、尿(約1,500ml)、不感蒸泄(皮膚や呼気からの蒸発:約900ml)、糞便(約100ml)として、1日に約2.5Lもの水分が失われているからです [1, 2, 3]。

この損失分を補うことが、生命維持とパフォーマンス向上の「最低ライン」となります。

 

2. 日本人だけの強み:食事から摂る「隠れた水分」

「毎日2L以上も水を飲むなんて無理だ」と驚く必要はありません。

この「体重 × 40〜50ml」という数値には、**食事から摂取する水分も含まれています。

欧米では食事からの水分摂取は20〜40%程度ですが、日本人は米飯(水分含有率約60〜65%)や味噌汁、麺類などを好むため、必要な水分の約51%を食事から摂取しています。

これは日本独自の優れた食文化の恩恵です。

 

【計算のヒント】食事の水分を賢く見積もる

臨床栄養学では、以下の式で食事由来の水分量を算出できます。

食事に含まれる水分量 (ml) = 1 日の摂取エネルギー (kcal) × 0.4

例えば、1日に2,000kcalをしっかり食べるジュニア選手なら、約800mlは食事から自然に補給できています。

残りの量を「飲み物」として意識的に摂取すればよいのです。

 

3. なぜジュニア層は「大人より多め」が必要なのか?

大人の基準(体重1kgあたり35ml前後)に対し、子供に40〜50mlを推奨するのには、小児期特有の生理学的理由があります [4]。

  • 高い代謝速度: 成長のための組織合成が活発でエネルギー消費が多いため、化学反応の媒体となる水を多く必要とします [5, 6]。
  • 未発達な腎機能: 尿を濃縮して水分を節約する能力が大人より低く、老廃物を出す際により多くの水分を消費します [5]。
  • 広い体表面積: 体重に対する皮膚の面積が広いため、不感蒸泄として蒸発する水分の比率が大人よりも高くなります。

早稲田大学の研究(2024年)でも、日本人の水分必要量は体重1kgあたり45〜56mlという高い範囲になると推測されており、ジュニア層にとってこの基準は「安全装置」と言えます。

 

4. 練習日は「+500〜1,000ml」で限界を超える

練習がある日は、基本の量に「500〜1,000ml」を追加しましょう。

これはスポーツ医学における「脱水率2%」の臨界点に基づいたガイドラインです [6]。

 

運動中の体液減少が体重の2%を超えると、心拍数の上昇や体温調節機能の低下を招き、パフォーマンスが著しく悪化します。

激しい運動では体内のエネルギー代謝が加速し、以下の化学反応によって熱が発生します。

この熱を逃がすための発汗で失われる水分と電解質(ナトリウム等)を補うため、練習前(250〜500ml)、練習中(1時間ごとに500〜1,000mlをこまめに)の補給が必須です。

 

まとめ:親御さんにできる最高のサポート

水分補給は「喉が渇いてから」では遅すぎます。脳が渇きを感じる頃には、すでに体内の水分不足は始まっているからです [1]。

今日から、お子さんの体重に基づいた「マイ・目標量」を一緒に計算してみてください。

朝起きた時、寝る前、そして練習の前後。

コップ一杯の水を勧めるその習慣が、お子さんの「勝てる体」と「健やかな成長」を支える最高の土台となります。

Makoto Ozaki
Makoto Ozaki

運動中以外の正しい水の飲み方

「練習中にはしっかり飲んでいるのに、なぜか疲れが取れない」

そんなジュニアアスリートの悩みは、実は「運動中以外」の過ごし方に原因があるかもしれません。

一流のアスリートにとって、水分補給は喉を潤すことではなく、最高のコンディションを維持するための「24時間続くミッション」です。

1. 私たちの体は「安静にしているだけ」で2.5L失う

激しい運動をしていなくても、私たちの体からは毎日大量の水分が失われています。

  • 排泄(尿・便): 約1,600ml

  • 不感蒸泄(呼吸・皮膚からの蒸発): 約900ml

     

合計すると、1日に約2.5Lもの水分が失われている計算になります。この「出ていく分」を常に埋めておかなければ、いざ練習が始まったときには、すでに体内の「水分貯金」が底をついている状態になってしまいます

 

2. 日本人アスリートの目標値:体重×45〜56ml

最新の研究によると、一般的な日本人に必要な1日の水分必要量は、体重1kgあたり45〜56mlの範囲であると推測されています。

例えば、体重50kgのジュニア選手なら、1日に約2,250〜2,800ml(2.25〜2.8L)の総水分摂取が目標となります。

この数値は、成人の維持量(約35ml/kg)よりもかなり高めに設定されています。

これは、成長期の子供やアスリートは代謝が活発で、体内での水分回転が速いためです

 

3. 「食事」と「飲み物」の黄金比

「2.5Lも飲むのは無理!」と思うかもしれませんが、ここが日本食の素晴らしいポイントです。

日本人は必要な水分の約51%を「食事」から摂取しています

 

  • 食事から摂れる分: 約1.0〜1.3L(ご飯、味噌汁、野菜など)

  • 体内で作られる水: 約0.3L(代謝水)

  • 「飲み物」で補う分: 約1.2L

つまり、日常においては、1.5Lのペットボトル1本分弱を「飲み物」として意識的に飲めば、アスリートとしての最低ラインをクリアできるのです

 

4. 飲み忘れを防ぐ「1日8回の給水タイミング」

一気に飲むと尿として排出されてしまうため、コップ1杯(約200ml)をこまめに飲むのが鉄則です。

1.2Lを効率よく吸収するためのスケジュール例がこちらです。

  1. 起床時: 寝ている間に失われた水分をリセット

  2. 朝食中: 食事の水分補完

  3. 10時頃: 授業や仕事の合間のリフレッシュ

  4. 昼食中: 午後の活動に向けたエネルギー代謝のサポート

  5. 15時頃: 練習前の先行補給(プレハイドレーション)

  6. 夕食中: 練習で失った分のリカバリー

  7. 入浴前後: お風呂での発汗を先読み

  8. 就寝前: 睡眠中の脱水リスクを軽減

このように1日を通じ、1.2Lを6〜8回程度に分けて摂取するのが最適です。

5. 答え合わせは「トイレ」で

「今の水分量は足りているか?」を最も簡単に知る方法は、尿の色です。

  • 合格(レモン色): 水分バランスは完璧です。

  • 不合格(濃い黄色・オレンジ): 脱水サイン。今すぐコップ1〜2杯の水分を補給してください。もし褐色(茶色)に近い場合は、強い脱水状態にあるため注意が必要です。

日常の給水が習慣になれば、練習でのスタミナも、試合での集中力も、確実に一段階レベルアップします。

今日から「コップ一杯」を丁寧に積み重ねましょう。


【参考文献・出典】

  • 厚生労働省「健康のため水を飲もう」推進運動 [1, 7, 8]
  • 日本スポーツ協会(JSPO)「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」 [6]
  • 早稲田大学スポーツ科学学術院 渡邉大輝氏らによる研究(2024)
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
  • JACC Study:日本人における水分摂取量と循環器疾患死亡リスクの研究 [9]

 

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