最近では、中学校や小学校の体育館にもエアコンが設置されるようになってきました。
しかし一方で、「暑さに慣れるため、あえて使わない」というチーム方針も見られます。
果たして、それは本当に子どもたちのためになるのでしょうか?
今回は、スポーツ科学・熱中症研究の最新エビデンスをもとに、ジュニアアスリートを支えるご家庭や指導者向けに、「体育館エアコンの正しい活用法」を徹底解説します。
目次
「暑さに慣れる=強くなる」は正しいか?
確かに「暑熱順化(しょねつじゅんか)=暑さへの適応」は、体温調節能力を高め、熱中症予防やパフォーマンス維持に効果があるとされています。
しかし、これは適切な気温・時間・段階的な負荷のもとで行う必要があり、
真夏の体育館でいきなり高温環境に長時間さらすことは、むしろ危険です。
【参考文献】
・日本スポーツ協会『熱中症対策ガイドブック(2020年改訂版)』
・American College of Sports Medicine(ACSM, 2021)”Heat Illness Prevention Guidelines”
・Racinais et al., 2021, British Journal of Sports Medicine(暑熱順化の最適期間に関する報告)
【メリット】エアコンを使用する3つの科学的利点
① 疲労軽減とパフォーマンス維持
冷房により体温上昇や脱水を抑え、集中力・判断力・動作の正確さをキープできます。
(参考:Casa et al., 2020, Sports Health)
② ケガ・熱中症の予防
暑さでのパフォーマンス低下は、反応速度・筋出力の低下につながり、転倒やケガのリスクが高まります。
(参考:Nybo et al., 2021, Journal of Applied Physiology)
③ メンタル面の安定
高温環境下ではイライラや不安感が強くなりやすく、認知力や学習力にも影響を与えることが報告されています。
(参考:Gaoua et al., 2022, Frontiers in Psychology)

練習の質を高めるには「耐える練習」より「集中できる環境づくり」が重要です。
【デメリット】エアコン使用で気をつけたいこと
① 暑熱順化の機会が減る?
常に涼しい環境では順化しづらくなるという声もありますが、
ウォーミングアップや屋外ランニングで徐々に暑さに慣れる設計をすれば問題ありません。
② 体調不良やケガのリスク?
冷風が直接あたると筋肉が冷えて動きにくくなり、ケガや免疫低下の要因になることも。

対策:送風の向きを調整、冷風の直当てを避ける、こまめな衣類調整を。
まとめ|「暑さに勝つ体」より「冷静に判断できる頭」
夏の暑さに“耐える”ことも一つの経験かもしれません。
しかし、中高生アスリートの未来にとって大切なのは、ケガなく練習を積み重ねること。
エアコンの使用は“甘え”ではなく、頭と体のパフォーマンスを引き出す戦略です。
その日の気温・湿度・選手の様子を観察し、「今日はどうする?」と判断する力こそ、親や指導者が育てるべき環境対応力です。
🌱 親御さん・指導者の皆さんへ
- エアコンの使用は「未来のケガ予防」として、投資と考える
- 子どもたちが「集中しやすい環境」を整えることが、成長スピードを加速させる
- 「暑さに耐える力」ではなく、「状況に応じて考え判断する力」を育てる
この夏を「我慢の時間」にするのではなく、一人ひとりの成長が加速する“きっかけ”にしていきましょう。
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