足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」 親子アスリート支援
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試合中のケガや、練習で足をひねってしまった…。

そんな時、選手が「足を台に乗せて挙げている」光景をよく見かけませんか?

しかし、椅子に座ったまま、もう一つの椅子に足を乗せている。

床に寝ているけれど、上半身を起こしたまま足をクッションに乗せている。

という状態では、見た目は挙上していても、腫れを引かせる効果が十分に得られないことがあるのです。

 

急性期の「腫れ」を放置すると何が問題か?

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

受傷直後の腫れ(=浮腫・出血・組織液の滞留)は、回復スピードや復帰時期に直結します。

 

腫れが長引くと以下のような問題が起こりやすくなります

関節可動域の制限(ROM制限)

筋萎縮(クアドリセプスラグなど)

痛みの慢性化

復帰時期が遅れる

したがって、急性期(48~72時間以内)にどれだけ腫れをコントロールできるかが、復帰の早さに大きく影響します。

 

 応急処置は「PEACE & LOVE」:挙上はどう位置づけられているか?

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

近年では「RICE」ではなく、“PEACE & LOVE” という新しい応急処置の概念が推奨されています。

 

【PEACE】の中の “E:Elevation(挙上)”

患部(例:足首)を心臓より10〜30cm高く保つことで、静脈やリンパの還流を促し、腫脹を抑制。

明確な臨床的根拠(エビデンス)は乏しいながらも、副作用がないため、急性期の対応として広く推奨されている。

引用:DCHFT NHS (2023)、Summit Orthopedics (2024)、PhysioPedia など

 

注意

ただ「挙げればいい」という話ではなく、“心臓より高いかどうか” が腫れコントロールの分かれ道です。

 

よくある“間違った挙上”の現場シーン

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

シチュエーション なぜ問題?

椅子に座って、足を別の椅子に乗せている 足が心臓より低くなるため、静脈還流が促進されず腫れが引きにくい。

床に寝ているが、上半身をクッションなどで起こして足を挙げている。

足の高さが心臓と同じかそれ以下になっていることが多く、十分な挙上効果が得られない。

 

正しい挙上のポイント

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

姿勢

仰向けに寝て、頭も床に付ける or 枕程度に留める

 

足の高さ

心臓より10〜30cm高く

 

時間と頻度

1回あたり20〜30分

急性期(48〜72時間)は1日3〜5回程度

間欠的でもOK(圧迫と併用が望ましい)

 

引用:Bleakley et al., 2006;van den Bekerom et al., 2021 など

 

継続的な挙上 vs 断続的な挙上

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

挙上は「どれくらいの時間、どう続けるか」も非常に重要です。

 

継続的に挙げ続ける場合

患部を常に心臓より高い位置に置くことで、静脈還流が持続的に促進されます。

特に、受傷直後の数時間は、連続的な挙上によって急性の浮腫形成を最小限に抑える可能性が高いと報告されています(Meeusen et al., 2001)。

 

対象期間

受傷直後〜12時間程度(特に最初の24時間以内が重要)

 

時間目安

可能な限り連続的に(数時間〜半日単位)/現実的には2〜3時間以上の持続を意識

 

根拠

急性期反応は発症直後にピークを迎えるため、ここで腫れを強く抑えることが後の回復に直結

 

注意

長時間同じ姿勢は不快感や血流停滞を招くため、軽度の足関節運動や圧迫併用が望ましい

 

断続的に挙げる場合

長時間の固定姿勢は不快感や血流停滞を招くリスクがあるため、20〜30分単位での「間欠的挙上」が臨床現場では実用的です。

Bleakleyら(2006)は、圧迫と併用した断続的挙上でも腫脹抑制効果が得られると報告しています。

対象期間

受傷12時間以降〜(48〜72時間以内)

 

時間目安

1回20〜30分 × 1日3〜5回

 

根拠

継続的挙上で腫れを抑えた後は、断続的でも十分に効果を維持可能。

運動療法(アイソメトリックなど)へ移行する準備段階にも適している

 

実際の推奨

世界的にも「常に高く保つことが理想だが、現実的には断続的でも良い」とされています。

重要なのは、“心臓より高いかどうか” を守りつつ、1日複数回繰り返すことです(van den Bekerom et al., 2021)。

 

実践方法

受傷直後〜12時間

できる限り継続的に挙上(目安:2〜3時間以上の持続)。

→ 就寝時も可能なら足枕を活用して継続。

 

12時間以降〜72時間

断続的に20〜30分を1日3〜5回。

→ 圧迫・冷却と組み合わせるとさらに有効。

したがって、「初期はできる限り長めに継続的挙上 → その後は断続的に繰り返す」という併用が、腫れのコントロールに最も有効と考えられます。

 

 エビデンスからの補足

Meeusen et al. (2001):Elevation(挙上)とCompression(圧迫)を組み合わせることで腫脹は有意に減少

PEACEプロトコル提唱者 Dubois & Esculier (2020):Elevationは「推奨だが強いエビデンスはない」。

ただし、害がないため積極的に取り入れるべきと記載。

 

まとめ

足首をケガした直後「その足の挙げ方、本当に腫れを引かせてますか?」

 

見た目が「挙げている風」でも、心臓より足が低ければ効果は薄い。

ケガの直後、どれだけ早く・正しく挙上できるかが、その後の回復・競技復帰に大きく関わります。

今一度、よくある光景にツッコミを入れつつ、「座って上げるより、しっかり寝て上げる」を現場でおこなっていきましょう。

 

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引用文献一覧(参考)

Dubois B & Esculier JF. (2020). Soft-tissue injuries simply need PEACE and LOVE. British Journal of Sports Medicine.

Meeusen R, et al. (2001). The influence of elevation and compression on edema formation after ankle sprain.

Bleakley CM, McDonough SM, MacAuley DC. (2006). Some conservative strategies are better than others for treating ankle sprains.

DCHFT NHS Trust. (2023). PEACE & LOVE: Acute Soft Tissue Injury Leaflet.

Summit Orthopedics. (2024). PEACE & LOVE for Soft Tissue Injuries.

Physio-Pedia. Peace and Love Principle. https://www.physio-pedia.com/Peace_and_Love_Principle

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