【保存版】試合中(練習中)に頭を打ったら…

試合中(練習中)に頭を打ったら… 親子アスリート支援
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脳震盪や首のケガにどう対応する?
トレーナー(医療従事者)がいなくてもできる、保護者・コーチのための対応マニュアル 

保護者コーチの皆様へ

✅まず最初に伝えたいこと

🧠 「大丈夫そう」に潜む危険──頭部・頸部外傷への本当の備え
スポーツ中に頭や首を強く打つケガは、時に命に関わる重大な局面となります。


それでも現場では、

「ちょっとフラついたけど平気そう」

「本人が大丈夫って言ってるから…」

そんな“判断”で、選手が再びプレーに戻される場面をよく目にします。


ですが、それこそが最も危険なのです。

試合中、激しい衝撃で倒れたにも関わらず、何の確認もせず立たせてしまう──


特に、コンタクトスポーツ以外の現場では、段階を踏まずにすぐ立たせてしまう光景を何度も目にしてきました。

これは、保護者やコーチの“無意識のうちの見落とし”によって、選手の未来が失われるかもしれないということを意味しています。

専門のトレーナーや医療従事者が不在の現場でも、その場にいる人の判断と行動が、選手の命とキャリアを守ることに直結します。

実際に、トレーナーが帯同しているチームでさえ、適切なステップを踏まずに対応している場面が少なくありません。

ラグビーやアメフトのように頭頚部外傷のリスクが高い競技では、明確なガイドラインが整備されています。

しかし、比較的リスクが少ないとされる競技では、対策が後手に回っている現状があります。

足の捻挫や骨折は多くの場合、命に関わることはありません。

しかし、頭や首のケガは、命に直結するリスクがあるのです。

私自身、大学時代にご縁あってスーパーバイザーの指導を受け、
頭部・頸部外傷における現場対応の基礎と覚悟を、徹底的に叩き込まれました。

日本スポーツ協会公認のアスレティックトレーナーであっても、選手同士の危険な衝突があった現場で“フリーズ”してしまう場面を、つい最近目の当たりにしたばかりです。

だからこそ、日頃から何度もシミュレーションを重ねることが必要です。

・初めての会場での動線確認
・AEDの設置場所チェック
・事故発生時の指示系統と声がけの段取り

そして正直に言えば──
いいか悪いかは別として、私はバスケットボールに帯同する際、「レフリーの許可を得ずにコートへ入る場面」まで想定し、シミュレーションしています。


それほどまでに、命を守る行動は一秒を争う場面になることがあるからです。

「正しい判断」は、日頃の準備と覚悟があってこそ生まれるもの。


だからこそ、現場に立つすべての大人が、心と行動の準備をしておくべきだと、私は強く感じています。

Makoto Ozaki
Makoto Ozaki

…そして、最後に強く伝えたいのは、

スポーツ現場で大きな事故が「起きていない」のは、当たり前ではなく、ただの“偶然”かもしれないということ。

だからこそ私たちは、
“起きてから”ではなく、“起きる前”に備える覚悟と準備を持ち続けなければなりません。

 

🚨【STEP1】倒れたら、まず“動かさない”

  • 頭や首を打って倒れた選手には安易に近づいて動かさない
  • 無理に起こしたり座らせたり、話しかけすぎない
  • 周りの選手を遠ざけ、プレーを止める

 

✅正しい固定姿勢とは?✔️徒手頚椎固定

方法 説明
両手で頭部側面を包み込む 頭の左右を耳のあたりで優しく支える
肘を膝や地面につけて安定保持 揺れずに支える姿勢をつくる
「頭・首・体幹が一直線」になるよう保持 少しでも動かさず、中間位キープ
💡過信しない!
動かさず119通報+AED準備を優先!

 

👀【STEP2】意識の確認は“AVPU”で!

評価 意味 対応
A Alert:ちゃんと話せる OK(次の評価へ)
V Verbal:呼びかけに反応 注意が必要
P Pain:痛みにしか反応しない 危険、すぐ救急車!
U Unresponsive:反応なし 最重症、即119!

→ A以外は、その場でプレー中止+病院へ直行/救急搬送

 

🧠【STEP3】かんたん脳神経チェック(誰でもできる6つ)

チェック方法 見るポイント
指の本数を見せて言わせる 片目で見づらい、二重に見える
指を上下左右に動かし、目で追わせる 目がフラつく、動きがおかしい
ほっぺを左右触って「感覚ある?」 感覚がにぶい、左右差がある
「おでこにシワ寄せて」 左右同じように動くか
「笑ってみて」 口元が片方だけ下がる
「耳、こっちの声聞こえる?」 片耳だけ聞こえない・耳鳴り

→ 一つでも不自然・左右差があれば病院へ

 

🪑【STEP4】倒れたままで異常がなければ → 座らせて確認

  • 首を軽く触って痛くないか・回せるかを確認
  • 手足のしびれがないかを確認
  • ふらつき・めまいが出れば、やはり病院へ

 

🚶【STEP5】さらに大丈夫なら → 立たせて再確認(SCAT6の一部)

  • しっかり立てるか?
  • 足がふらつかないか?
  • 「いま何曜日?」「どこで試合してる?」に正確に答えられるか?
  • 「頭痛する?」「気持ち悪い?」などの自覚症状を聞く

🔗 SCAT6(13歳以上用)日本語版PDF

 

🧭【STEP6】病院に行く/行かないの判断基準

判断基準 対応
意識が一時でも飛んだ/記憶が曖昧 必ず病院へ
頭痛・吐き気・めまいが続く 必ず病院へ
首に痛み/しびれ・脱力がある 救急搬送
様子が明らかにおかしい 病院へ
自覚症状がなくても不安がある 病院へ

→ 「大丈夫そう」より「念のため行く」が正解!

 

🚫「大丈夫だろう」は絶対にNG。

少しでも不安を感じる状況であれば、首を徒手(手)で軽く固定し、動かさずにその場で救急車を呼んでください。

「本人が大丈夫って言ってるから」「ちょっと打っただけみたい」
こうした判断は、重大な脊椎損傷や脳損傷を見逃す可能性があり危険です。

  • 不安を感じる時点で、その場で動かさない
  • 首を支えて安定させ、選手が勝手に起き上がらないよう声かけ
  • 必ず「最悪を想定する行動」を取ることが命を守る第一歩

✅「大丈夫そう」ではなく、「念のため止める・診せる」が正しい判断です。

 

⚠️適当に対応してしまうと、どうなる?

たとえ本人が「大丈夫」と言っていても、
脳の中ではゆっくり出血が進行しているケースもあります。

実際に起きた事例:
  • 転倒直後は元気だったが、数時間後に意識を失い救急搬送
  • 頭痛を我慢して帰宅 → 就寝中に容体急変
  • 練習を続けて症状悪化 → 後遺症が残る
  • 頚椎骨折に気づかず、動かした瞬間に脊髄を損傷し、首から下が麻痺

💀 最悪の場合、命を落とすことも。

「適当な対応」は未来の選手生命を奪いかねません。

 

🏠【STEP7】帰宅後の対応|夜間の見守りが命を守る

脳震盪や頭部外傷の疑いがある場合、帰宅後も油断は禁物です。
多くの重症例は「帰宅後に1人にしてしまった」ことが原因で、救命のタイミングを逃しています。

対応ポイント:

  • その夜は絶対に1人で寝かせない
  • 最低でも2〜3時間ごとに様子を確認する
  • 呼びかけに反応するか? 会話が成立するか?
  • 呼吸が安定しているか? 苦しそうにしていないか?
  • 起きたときに頭痛・吐き気・ふらつきがないかチェック

 

📌 寮生・遠方の部活生で「1人部屋」になる場合:

  • 必ず同室者をつける、もしくは部屋でスマホによる定時連絡をさせる
  • 本人だけに任せず、寮スタッフやコーチが状態確認の体制を作る
  • 起床時や夜中に異変があれば、即医療機関に連絡できる環境を整える

 

🛌 見守り期間の目安:

初日は特に慎重に。異常がなければ翌朝から日常生活へ戻していく

ただし、プレー再開は医師の判断が出るまで絶対に禁止。

✅「帰れたから安心」ではなく、「帰ってからが勝負」です。

 

📄【STEP8】記録・共有も忘れずに!

  • 何が起きたか(日時・場所・原因)
  • 意識・受け答え・バランス・症状など
  • 誰がどう対応したか(座らせた/病院へ連絡など)

→ スマホのメモやLINEなどに簡単に残すだけでも◎

 

✅まとめ:トレーナーがいなくてもできること

やること 誰ができる?
倒れたら動かさない 全員
AVPUで意識確認 保護者・コーチ
簡単な脳神経チェック 保護者・コーチ
座位・立位の段階チェック 保護者・コーチ
1つでも異常があれば病院へ 必ず!
帰宅後の見守りを徹底 家族・寮スタッフ
記録を残して共有 チーム全体で

 

✍️最後にひとこと

スポーツ現場に「必ず医療従事者がいる」とは限りません。

だからこそ、誰でも最低限の判断ができる準備が命を守ります。

そして迷ったら、「プレーを止める・病院へ行く」

それが最も安全で、選手の未来を守る行動です。

 

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頭頸部外傷 搬送マニュアル 頭頸部固定編

 

 

 

 

専門家向け現場用マニュアル

🧠 専門家向け:頭部・頚部外傷への対応プロトコル

意識評価
脳神経チェック
頚部損傷評価
SCAT6簡易対応

🔰【 STEP 0】事前準備

☑️ AED

☑️ 頚椎カラー

☑️ スパインボード

☑️ ハサミ

☑️ 手袋

☑️ SCAT6用紙

★「頭を打ったら即アウト」原則をスタッフ全員で共有

★プレイヤーには自ら申告する教育をしておく

 

🚨 【STEP 1】発生時の初動対応

  • プレーを止める/選手に近づく
  • 安全確保(周囲の選手や器具を排除)
  • 声かけ・意識確認(「大丈夫?」「名前言える?」)

 

👀 【STEP 2】意識レベルの評価(15秒以内)

  • 「大丈夫か?名前は言える?」

  • 意識レベル=JCSまたはAVPUで記録

評価法 内容 基準
JCS 0:清明
1〜3:声に反応
10〜30:痛みに反応
100〜300:反応なし
3桁なら即搬送
AVPU A:覚醒
V:呼びかけに反応
P:痛みに反応
U:反応なし
V以下は危険

📍動かさない/喋らせすぎない

  • 頭部・頚部外傷の疑いがある場合、“絶対に動かさない”

  • 手足が動いても、安易な移動・起こしは禁止

 

一次評価(Primary Survey)

※命に関わる状態をチェックし、即救命処置の要否を判断

項目 内容 備考
A(Airway) 気道確保 嘔吐や出血があれば除去。顎先挙上は注意
B(Breathing) 呼吸の有無 胸部の上下動/10秒以内に確認
C(Circulation) 循環/出血 顔色・脈拍・出血チェック
D(Disability) 意識レベル AVPU・JCSで記録、SCATチェックへ
E(Exposure) 全身観察 頭皮出血・異常腫脹・奇形の有無確認
🟡 JCS 1以上 または AVPUがV以下 → 即119通報・プレー禁止

 

AVPUスケール(意識レベル評価ツール)

レベル 具体的な反応内容
A 覚醒 患者は周囲を認識しており、声をかけなくても自発的に目を開ける、会話が成立する、命令に従う、物を目で追うなどの反応がある。
V 呼びかけに反応 自発的には反応しないが、名前を呼ばれるなどの声かけに対して目を開ける・返事をするなどの反応がある。内容が適切で意味のある反応。
P 痛みに反応 声には反応しないが、爪床圧迫や鎖骨下圧迫などの痛み刺激に対して動作やうめき声などの反応が見られる。
U 無反応 呼びかけにも痛み刺激にも一切反応がない。目を開けない、声も出さない、動きもしない状態。

 

🧠 【STEP 3】仰臥位でのチェック

頚椎損傷の可能性チェック(絶対に動かさない!)

  • 頚部の痛み・違和感
  • 首を動かす際の恐怖感・痛み
  • 手足のしびれ・脱力感

 

🔎 【STEP 4】簡易脳神経チェック(重要6項目)

神経 評価方法 異常所見
CN II 指の本数・視野確認 視野狭窄・見づらさ
CN III, IV, VI 上下左右の追視 複視・眼振
CN V 頬に触れる・かみしめ 感覚鈍麻・左右差
CN VII シワ寄せ・目閉じ・笑顔 顔面まひ
CN VIII 左右からの声に反応 難聴・めまい
🟠 異常が1つでも → 頚椎損傷の可能性含め搬送判断へ

脳神経チェックの優先度

優先度 神経 名称 チェック内容 現場での目的
★★★ CN II 視神経 指の数を言わせる/視野の左右差を確認 ぼやけ・視野狭窄の有無を確認
★★★ CN III, IV, VI 動眼・滑車・外転神経 指を上下左右に追わせる(追視)/複視・眼振があるか 脳幹圧迫の可能性や眼球運動の異常を確認
★★☆ CN VII 顔面神経 「おでこにシワ」「目を閉じる」「笑顔」などの表情運動 顔面神経麻痺や左右差の確認
★★☆ CN V 三叉神経 頬や額を触って感覚を比較/奥歯を噛みしめる 感覚鈍麻・咀嚼筋の左右差確認
★☆☆ CN VIII 内耳神経 「右と左どちらの音が聞こえる?」「めまい・耳鳴りはある?」 聴力異常・バランス機能の異常確認
CN I 嗅神経 (割愛) 評価困難なため現場では省略
CN IX〜XII(舌咽・迷走・副神経・舌下)は、言語・嚥下・肩挙上・舌運動で確認できますが、意識混濁や明らかな異常がない限り現場評価は省略可

 

⛑ 【STEP 5】座位へ移行(頚部・神経に異常なし)

  • 意識明瞭(JCS 0 / AVPU A)
  • 神経所見なし
  • 頚部痛なし・可動可能(慎重に)
  • バランス維持・めまい確認

 

🚶 【STEP 6】立位へ移行

  • 座位保持安定(ふらつき・頭痛なし)
  • 頚部回旋・伸展に問題なし
  • 感覚・認知異常なし

 

🧪 【STEP 7】立位での簡易SCAT6チェック

項目 内容 備考
記憶 日付・場所・相手チーム 例:「今日はどこで試合?」
バランス かかと-つま先一直線で20秒 ふらつき・転倒でNG
症状 頭痛・吐き気・ふらつき 10段階スケール記録
頚部再評価 回旋・屈曲・圧痛 違和感で即中止

 

🚑 【STEP 8】搬送判断のレッドフラッグ

  • 意識消失
  • 記憶の欠落
  • 嘔吐・激しい頭痛
  • 手足の異常(しびれ・動き)
  • 頚部圧痛・視覚異常・耳鳴り・ろれつ不明瞭
→ 1つでも該当すれば即搬送判断!
Makoto Ozaki
Makoto Ozaki

いずれか1つでも該当すれば、即119+救急搬送判断

  • 意識消失(数秒でも)

  • 会話不能、ろれつが回らない

  • 嘔吐、視野の異常、光過敏

  • 手足のしびれ・動かせない

  • 頭痛の訴えが強くなる

  • 頚部圧痛、動作で悪化する痛み

  • 頭部直撃や頚部に衝撃(特に転倒)

  • ボール・他選手と高速接触

  • プレイ続行困難を自覚・訴える

 

📞 【STEP 9】通報・保護者連絡・記録

  • 119通報時:場所/選手情報/呼吸・意識/スポーツ外傷
  • 保護者へ連絡、評価・対応記録も共有
  • プレー再開には医師の診断と許可が必要

 

救急対応フロー
  • 119通報/AED手配/搬送先確認

  • チーム責任者に報告/保護者連絡

  • 119には以下の情報を正確に伝達:

    • 現在地(住所・施設名)

    • 傷病者の状態(年齢・性別・意識・呼吸・発症経緯)

    • スポーツ中の事故であること

 

📋 【STEP 10】記録と再発防止

  • 評価・経過を時系列で記録
  • SCAT用紙・CNチェックの保管
  • 本人・保護者・チーム・学校と情報共有

「なぜプレーを止めたか」を本人へ説明 → 信頼形成に繋げる

 

✅ 絶対に守る「3原則」

  • 倒れたら動かすな
  • 話しかけすぎるな
  • 立たせるな

段階評価(倒位→座位→立位)を必ず実施
迷ったら「即アウト・即搬送」

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